「おっ。男子メインの騎馬戦だね」
アナウンスを聞いて周りに座っていた男子たちが一斉に立ち上がった。
颯も例外ではなく立ち上がって私たちの前を通り過ぎようとする。
「あ……」
一瞬目が合って話しかけようとしたけど、颯は目を逸らして行ってしまった。
やっぱり、怒ってるんだ。
理乃の前なのについ肩を落として落ち込んでしまう。
一部始終を見ていた理乃が颯を睨みつけながら怒りだした。
「何よあいつ。永瀬のせいで莉子は怪我したっていうのに」
「いいの。颯は関係ないし、それは言わない約束でしょ?」
「そうだけど……あまりにも冷たい態度だから」
困ったように私の顔を見る。
気持ちは嬉しいけど颯のこと悪く言われたくない。
「気にしてないし、大丈夫!」
笑顔で答える私に理乃はまだ浮かない顔をしていたけど、私にそれ以上何を言っても無駄だとわかってもう何も言わなかった。



