泣き顔を見られたのが恥ずかしくて俯いた。
「気にすんな」
そう言って笑った颯の顔が赤かったのは気のせいなのかな。
夜の風はほんの少し冷たく感じた。
体操服姿なら尚更。
私は颯の腕の中から解放されて初めてその寒さに気づく。
じっと見つめるけど、颯は空を見て何か考えているようだった。
「でもこんな怪我してるんなら明日は無理だな」
えっ?
そんなの……やだよ。
「嫌っ。私、明日走る」
私の意外な言葉に目を見開いてこちらを見る颯。
「は?何言ってるんだよ!その足じゃ無理だ」
「でも走りたいの!せめてリレーだけでも」
せっかく告白する決心をしたのに諦めたくない。
颯がなんと言おうとこれだけは譲れないんだ。



