「ごめんじゃわからない」
そう言って私の頬に手を添えてこちらに向かせる。
「……っ」
颯は怒っているどころか優しそうに私を見ていた。
「我慢するなよ」
頬にあった手を離しそっと私の頭にのせる。
温かくて大きな手。
それだけでとめどなく涙が溢れてしまう。
「……ック……ヒック、ごめっ……」
後から後から涙が頬を濡らしてく。
颯は黙って私を腕の中に閉じ込めた。
いつもの私だったら照れて押し退けてしまったかもしれない。
だけど今はただその温もりに身を預けていたかった。
気がつくと辺りは真っ暗で電灯がポッと灯っているだけだった。
大分落ち着いてきたのでそっと颯の体から離れる。
「ごめん。泣いたりして」



