頭上からはいつも以上な低い声がして、私はその声についビクッとした。
恐くて震えそうになる左腕を右手でギュッと押さえる。
ここで怯んじゃダメだ。
顔を上げて颯の目をじっと見つめる。
顔は見えないのに、彼の目だけは真っ黒く透き通っていて私の姿を映していた。
その瞳に吸い込まれそうになる。
「私はいつも通りだよ?」
「嘘つけ。じゃあその右足はどうしたんだよ」
「それは……って、ちょっ、痛ッ!」
本当のことを言わない私に痺れを切らしたのか、しゃがんで私の右足首を握る。
「やっぱり」
ハァとため息を吐いて私のハイソックスを下げると、足首に巻かれたテーピングが見えた。
「どうして黙っていたんだ?」
「ごめん」
颯の顔が見れなくて私は目を伏せる。



