キミの一番になりたい

 
「ハァーハァー、ちょっと……颯! 痛いっ‼」



強引に私の手を引く颯には私の声は届いていない。


歩幅が違うため小走りになって息がきれる。



どうやら行き先は校舎裏の方みたいで、放課後とあってか人影は全くなかった。




颯は壁際に私を引っ張り、両手をついて逃げ場をなくす。


逆光でよく顔が見えない。


でも怒ってるのは確かだ。




「な、何?急にここまで連れてきて。痛かったじゃん」



いきなりこんなことをされて私も黙ってはいない。




「痛いのは腕?それとも足?」


「え?……な、何言ってるの?」



思ってもみない言葉に一瞬動揺する。


明らかに怪我のことがバレているようで、私は思わず目を逸らした。





「ちゃんと俺の目を見ろよ」