隣の席だから授業中は黒板じゃなくこっちを、休み時間や移動教室でさえも見られている感じが付きまとった。
しかも顔が怒ってるようで怖い。
私はそれに気づいていないフリをしてかわし続けた。
でも、それも限界。
颯に捕まったのは放課後の事だった……
「じゃあ、走りながらバトンの手渡しの確認しっかりやれよー!」
先生が大声でみんなに聞こえるように叫ぶ。
前日とあってか本気では走らず最終確認が主だった。
怪我してる私にとっては願ってもないこと。
「莉子が一緒で心強いよ。明日は頑張ろうね!めざせ1位!」
「もちろんっ!」
同じチームの希穂と握手を交わして位置に着く。
希穂とは昨年も同じリレーチームで仲良くなった。
学年女子の中で五本の指に入っているから、私としても希穂がいると心強い。
まだ痛みはあるものの回復していることは確かなので軽く走る。



