颯のメールは短くて素っ気ないけど、それでも返してくれるから嬉しかった。
「おっ、本人ご登場」
前に座っていた理乃がわざとらしく目線をドアに向けて言った。
振り向くと眠たそうにしながら颯が歩いてくる。
「おはよ」
「……おす」
あいさつした私をチラッとだけ見て席に着くと、鞄の中身も出さずにさっそく机に伏せて眠り始めた。
「相変わらずだね。莉子もあんなやつのドコがいいんだか」
「しーっ!声が大きい。
私が誰を好きでも自由でしょ?」
咄嗟に理乃の口を両手で塞いで小声で話す。
すぐ隣にいるんだから聞こえちゃったらまずいよ。
「ふぁいふぁい」
『はいはい』とでも言いたかったのか、私に塞がれていたのではっきりとは言えなかったようだ。
「そういえば部活の方は大丈夫そう?」
思い出したように私は聞いた。
ついでに手も離す。