「莉子、先に行くよー」
「うん。ここ掃いたら終わりにするから」
私、森崎莉子。
高校の二年生で、明るく元気だけが取り柄の16歳。
……さて、ここも掃き終わったし帰るとするか。
裏庭の掃除を終えて教室に帰ろうとした時、
ーーパサッ
んん?紙ヒコーキ?
何でこんな所に。
ふと足元に落ちてきた紙ヒコーキを拾い上げる。
誰だろう……
今時紙ヒコーキ飛ばしてる人なんているんだ。
校舎を見上げたけど、窓にいる人たちを見ても飛ばしたような様子は見受けられなかった。
変なの。
そう思いながらも私は紙ヒコーキを持ったまま教室に帰っていった。
この時の私は、これから変わっていくであろう日々にまだ何も気づいていなかった……