私は立ち上がると、つかつかと大輔のところまで近づいた。
そして、まだポカーンとしている大輔に向かって言い放った。

「目の前の人!」

「……え?」

「…私に…キ、キスした人!」

「…え」

ちょっと言うのが恥ずかしくてつっかえてしまった。
だけど今度は息を吸ってはっきりと。
言葉が、…想いが伝わるように。

「私の好きな人は!大好きなのは!大輔だ…って、…言ってんの…っ……」

言っているうちに恥ずかしくなってきて、語尾が小さくなってしまった。
ちゃんと伝わっただろうか?
怖くなって、恐る恐る大輔の様子をうかがう。
すると。

「…ははっ!」

大輔は、笑っていた。
いつもの大輔だ…。