そのまま十日ほど過ぎたある日のこと。 「久し振りだねっ。」 俺がマンションに帰ると、玄関の前にちほがいた。 ちほは留里の親友で、小学生のときからの付き合いだ。 俺たちの関係を最初から知っているたった一人の友達だ。 今は、大学に通いながら、留里の店でバイトをしている。 「おぅ。元気だったか?」 俺は、何事もなかったかのように挨拶する。 留里のことで話をしにきたのは、わかりきっていたが。 「あ~ぁ、神谷さんも、留里も死んだような顔してっ。寝不足でしょ?センセ?」