そして彼女は覚悟を決めたように再び真っ直ぐ前を見据える。
そこから180°体を回転させ、自身の率いる軍勢を見る。
こちら側の人間は約千、対して敵軍の兵は約15万と圧倒的不利な状況下にある。
だがしかし、こちら側の後方には数え切れない程の獣たちが構えていた。
彼らもまた、こちら側の戦力であった。
そして彼女は大きく空気を吸い込む。
「皆さん!聞いてください!」
その空気は軍勢の最後尾まで聞こえるほどの大声に変わった。
その瞬間、軍勢は静まり返った。
「こうして再び皆さんが集まってくれたこと、感謝します。
••••今、敵の主戦力は軍勢の前方に集中しています。正面からやり合えば、この頭数の差です。到底かないません。
よって、“作戦2”を決行します。」
そう言い切ると彼女は手に持っていた古びた棒を握り締め、
「全員生きて、またここで会いましょう。
•••健闘を祈ります。」
少し微笑み、そう語った。
その直後、軍勢はいくつかのグループに分かれ、その中の三つのグループが森へと足を踏み入れた。


