◇◇◇
「う゛ー…夜は冷えるな…」
深夜、俺はテントの外で毛布にくるまり、焚き火にあたりながら見張りをしていた。
守るとは言われたものの、夜の見張りは2時間交代な訳で。どうしても一人の時間は生まれてしまう。
木々が風に揺れる音やどっかの獣の遠吠えが聞こえるだけで心臓が速く脈打ち、俺がヘタレであることを改めて感じる。
「寒いし怖いしもう嫌だ…
早く交代したい…」
そんな事を呟きながら再び空を見上げる。
木々の間から見える空は茜から漆黒へと変化し、真上には綺麗な満月が浮かんでいた。
「こんな状況でも月は綺麗に見えるんだな…」
そんな感想を漏らし、視線を正面へ戻す。
その瞬間、俺は凍りついた。
何故なら、焚き火の向こう側で白い獣が俺の方を見ていたからだ。


