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どれくらい歩いたのか。
俺の感覚ではもう一時間近くは歩いてる。
それでも辺りは木 木 木•••
そればっかりで特に何の変化も見られない。
当たり前か、森だもんな。
急に木が無くなったりでもしたら逆に不気味だよ。
俺はおもむろに空を見上げた。
見えたのは高くそびえ立つ木々とその隙間から見える茜色の空。
日が沈みかけてるんだ。
ヤバい。
俺は心の中で叫んでいた。
勿論覚悟はしていたさ。
この森で夜を迎えることを。
たった数時間やそこらで調査が終わるはずないからな。
でも、いざ一夜をこの森で過ごすとなると恐怖を感じずにはいられない。
ここは迷いの森。
ここから無事帰還した奴は一人もいない。
いつ、どこで、何が起こるかわからない。
そんな森の中で歩く足を止めるのは恐怖以外の何物でもなかった。
「暗くなってきた。
この辺で野宿する?」
そんな俺の心中の奮闘を知らないリアさんは、ギルさんと俺にそう提案する。


