その夜、冬馬も、琉偉も、雪の家に泊まった。

2人は、初対面にもかかわらず、昔からの知り合い、いや、まるで、兄と弟のように、仲が良かった。

雪は思った。

このまま、冬馬の言う通り、琉偉に甘えて、すべてを任せれば、何もかもうまくいくんじゃないか?

素直に、自分の気持ちを言ってしまえば、幸せになるんじゃないか?

思いを巡らせれば、プラスになる事ばかりが思い浮かぶ。

・・・でも。

そう簡単に事が上手く進んでくれるんだろうか?

飛天旅館の相馬は、まだ、私を諦めてくれていない。

琉偉は想定内だと言って、気楽に構えているけれど、相馬は、そう簡単な男じゃない。

あの、飛天旅館の経営者なのだから。

…飛天旅館は、表向きは、クリーンな旅館経営だが、裏では色々とやっていると、調べていて知った。


雪はもう、相馬から逃げられないのだろうか?