…その後、琉偉がもう一度眠りにつくまで、傍にいる事を条件に、雪は解放された。

中々眠れず、手を握ってあげると、安心したのか、直ぐに深い眠りについた琉偉。

…両親の愛情を受けていないと言っていた事を思い出した。

琉偉はきっと、愛情を欲している。しかも、心の底から。

表向きにはわからないが、こういう時に垣間見える。

琉偉の手を中々離せず、しばらく寝顔を見ていた雪だったが、後ろ髪引かれる思いでマンションを出て、アパートに帰った。

家に帰った雪の頭の中は、琉偉の事で一杯。…義人と別れさせたのは、琉偉で、憎んでもいい相手なのに、憎めない。それより、琉偉にどんどん惹かれていく。

…琉偉の傍にいたい。

そう思ってしまう。…課長も、琉偉の事を話している時、とてもいい顔をする。琉偉は、本当は悪い人ではない。

それはよくわかっている。でも、いろんな気持ちが邪魔をして、自分の素直な気持ちが見えてこなかった。