カバンの中から、少ない化粧道具で顔を直し、コンビニに向かうと、くだものや少量のお米などを買い、コンビニを出た。

その時ちょうど、携帯が鳴り、それに出た。

「もしもし」
『…雪?今どこ?』

電話の相手は、義人。

「…ちょっと、今出てるんです」
『どこに?』

「…社長の具合が悪くて」
『…今直ぐ行く。どの辺なんだ?』

「来ないでください、まだ、もう少し傍にいないと」
『…なんで?…俺たちを別れさせた張本人なのに?』

その言葉に、雪は一瞬喉を詰まらせた。でも、直ぐに反論した。

「そうだとしても!あんな社長放っておけません。お願いです。しばらく連絡して来ないでください。私は社長の傍にいたいんです」


そう言うと、携帯をきった。

雪と義人を別れさせたのは、確かに琉偉だ。たくさん傷ついたし、たくさん泣いた。

それでも、琉偉の傍にいたいと思う。自分の事より、周りばかりに気を使う琉偉を、雪は放ってはおけなかった。

誰かが傍にいなければ、いけないと思えてならなかった。