互いの気持ちが近寄ったかと思えば、すぐに離れてしまう。

…なぜ、雪と義人を別れさせたのか。

雪はその理由を知らない。だが、琉偉はそれでいいと思った。自分が悪者になってでも、雪を守りたかった。

雪が会社に入社してからずっと、雪だけを見てきた。最初は部下として見守っているに過ぎなかった。でも、それが恋心に変わるのなんて、時間はかからなかった。

でも、入社して間もなく、雪に彼氏がてきた事を知った。それが、鮫島義人だった。恋心に気付いた時には、雪の心にはもう義人の事で一杯だった。

でも、琉偉はそれでいいと、雪が幸せならそれでいいと思えた。傍で、見守っていられるだけで、幸せだった。

…それが、間違った幸せだと気付くまでは。

雪は、義人を愛してた。義人もまた、雪を愛してると思っていた。でも違った。

義人は、雪が黒澤コーポレーションの社長秘書だから、付き合ったのだ。新たに参入する事業の役に立つと思って。

…義人が、雪に伝えた事実は、実は真逆だったのだ。

琉偉が雪を利用したのではない。

義人が雪を利用したのだ。

それを知った琉偉は、義人が許せなかった。雪の心を利用するなんて。

だから、雪と義人を離したのに。

2人はまた、近づいてしまう。

もう、自分にしてやれる事はないのか?琉偉はどうしていいか、わからなかった。

愛する雪が傷つく姿など見たくはないのに。