その後、課長は下の子の優希と遊び、雪は有斗と電車のオモチャで遊んでいた。

そして間も無くして、インターホンが鳴る音がして、有斗に満面の笑みで立ち上がった。

「兄ちゃま来たー!」

そう言うと、小走りで玄関に向かって走って行った。

「…兄ちゃま?」

そう言って首をかしげる雪。課長はそれに応えることなく、優希をあやしていた。

「出迎えてくれるのは、有斗だけだ、な…」

男性の声が聞こえ、雪はそちらを見て固まる。…相手もまた、雪を見て、目を見開いていた。

「琉偉、遅いぞ」
「…たまの休みくらい、ゆっくりしたいのに、呼び出すから」

課長に反論しつつ、琉偉は有斗を抱っこしたままソファーに座った。
でも、すぐに有斗は立ち上がると、琉偉の手を引っ張る。

「兄ちゃまも一緒に電車しよう」
「…ぇ、あ、ぅん」

困惑しつつ、琉偉は有斗にされるがままで、雪の横に座った。

「…白井さんも来てたんだ」
「…はい、課長に呼ばれまして」

その言葉に、琉偉は課長を睨むが、課長は知らん顔。

「…雪ちゃんを呼んだのは私よ」
「…ぇ、」

琉偉はその声に驚いて振り返ると、さつきが琉偉を睨んでいる。

「マー君は何にもしてないから。雪ちゃんとお友達になりたいから、呼んでもらったの」

さつきの言葉に、琉偉はなんとも言えない顔をした。