…この後の休み中は、雪と琉偉は一度も顔をあわせる事が無かった。

良かったのか、悪かったのか…

雪の頭の中には、琉偉の事ばかり。この数日の間に、色んな面の琉偉を見せられ、雪は戸惑った。

…そして迎えた仕事始め。

雪はいつものように、ダークグレーのスーツに身を包み、秘書課に出社した。

「…おはよう、雪。今年もよろしくね」
「おはよう麻美。こちらこそよろしく」

「おはようございます、雪さん!私もよろしくお願いしますー!」
「おはよう、真美ちゃん、よろしくね」

落ち着いた麻美と、いつも元気な真美と新年の挨拶を交わしていると、課長が入ってきた。

「みなさん、おはようございます。今年も一年よろしくお願いしますね」

「「「よろしくお願いします」」」

課長の挨拶に、今年も仲良く3人の声が重なった。それを聞いた課長は、クスクスと笑う。

「本当に、3人は、仲良しですね」
「当たり前じゃないですか!」

「そうですよー。私達は、3人で一人みたいなものなんですからね〜」

「あ、それは嫌かも」
「もぅ!雪さん酷ーい!」

雪と真美の掛け合いに、秘書課は笑いに包まれた。今年も良い一年になりそうな予感がした。