二人同時に立ち上がった瞬間、琉偉はふと、胸元がきわどい服を着てる雪に目が行き、ハッとした。

その顔を雪はどうしたのかと見た時は、もう、琉偉に抱き寄せられていた。

「る、琉偉さん」

驚いて、雪はアワアワする。すると、琉偉は左手で、雪の胸元に手を伸ばし少しだけ服をめくった。

「…ぁ」

その行動にドキッとして、雪は琉偉を見上げた。

「…これ、まだ消えてなかったんだな」
「…ぇ?」

…それは、出張した日に、雪が見つけた跡の事を言ってるのが、すぐに分かった。

「…琉偉さ…ん!」

雪が抵抗する間もなく、琉偉はその跡に唇を寄せたかと思えば、鈍い痛みが走った。雪は驚いてほんの少し痛みに耐える。

離れた唇、そこには、より鮮明な跡が、くっきりとついた。

「…これは、消させないから」
「…琉偉さんが、…つけてたんですね。…なんで、こんな」

まるで、琉偉のモノだと言わんばかりに付けられたキスマーク。最初のモノを琉偉に付けられたという疑惑が確信に変わり、雪は動揺する。

「…俺は白井雪が…」

そこでタイミング良く、琉偉の携帯が鳴る。溜息をついた琉偉は、雪を抱き寄せたままそれに出た。

…数秒でそれはきられ、琉偉は再び雪を見下ろす。雪は言葉も出せず、琉偉を見た。

すると琉偉は雪に触れるだけのキスをすると、部屋を出て行った。

その場に取り残された雪は座り込む。

そしてそっと、自分の唇に触れた。