12月31日。本当なら、もうとっくに冬季休業に入っているはずだった。

しかし、突然の出張になってしまった為、社長と社長秘書は、年末のこの日まで、仕事になってしまった。

午後7時。ようやく今年の全ての業務が終了した。

「課長、お疲れ様でした。もう後は戸締まりくらいなので、私がしておきますので、早く帰ってあげてください。奥様や子供達が帰ってくるの、首を長くしてきっと待ってますよ」

課長には、可愛らしい奥様と、2歳と1歳になる子供がいて、とても溺愛している事を秘書課のみんなが知ってる。

「ありがとう、白井さんは実家には帰省しないの?」

雪の実家は北海道だ。なかなか仕事で帰れず、暖かくなってくるゴールデンウィークに一度帰れればいいくらいなのだ。

「実家は遠いので、年末年始は帰らないんです。ですから、一人で年越しなんですよ。あ、ほらほら、早く帰ってください」

「あーうん、お先に失礼するよ。また来年もよろしくね」
「はい!こちらこそ、宜しくお願いします」

二人で挨拶を交わし、課長は帰って行った。雪は、雑用をこなし、戸締まりを確認すると、一度、社長室に向かった。

琉偉はまだきっと、仕事をしているだろう。