朝、目を覚ました雪は、ほんの数センチのところにある琉偉の寝顔に、発狂しそうになったが、慌てて口を塞いだ。

只今の時刻、午前6時。

まだ、起きるには早く、雪は琉偉を起こさないように、ベッドからそっと抜け出した。

洗面所で顔を洗って、鏡に自分を映したとき、少しはだけたバスローブの胸元に赤いモノがある事に気付いた雪は、何事かともう少しめくったてみた。

「な、に…これ」

雪は目を疑った。…彼氏と別れて数日。…別れるまでに、彼に抱かれたのなんて一ヶ月も前の話だ。…しかも、彼に、こんな跡をつけられた事など一度もない。

それでは、誰がこの跡をつけた?

…思い当たる人と言えば一人だけだ。

でも、なんの核心もないのに、聞けるわけもなく…雪はバスローブで跡を隠すと、見て見ぬフリをした。

化粧をして、スーツを着た雪は、部屋に戻った。

…間も無くして、琉偉が起きてきたが、胸元についたモノについて、触れてくる事はなく、雪は、何かでできた傷かな、と思う事にした。