「…疲れてるだろうから、先に寝ろよ」

そう言葉をかけた琉偉も、バスルームに入って行った。

「うーん、寝ろと言われても、眠くないなあ」

と、一人呟いた雪。それはそうだろう。短時間とは言え、グッスリ眠った雪は目がギンギンに冴えている。

しかも…

ホテル側は、何を勘違いしたのか、ベッドがダブルベッドで、一つしかない。

と言うことは、ここに、二人で眠らなければならない。…困った。

そう思っていた雪だが、待てど暮らせど琉偉は寝室に来ず…コッソリドアを開けて覗いていると、…琉偉は、ソファーに寝転がって眠っていた。

「…黒澤社長、こんなところで寝たら風邪ひきます。ベッドで寝てください」
「…ぅん…ぁー、ここでいい」

目を瞑ったまま、呟いた琉偉。

「ダメですよ。お願いですから、ベッドで寝てください」
「…」

ようやく目をこすりながら起きた琉偉は、寝ぼけ眼で雪を見上げた。

「…抱きしめて寝てもいいなら」

「…⁈」