次の日、琉偉を見送った後、雪はいつものように秘書業務に勤しんで、一日を無事に終えた。

それぞれの秘書はみんな帰っていき、秘書室は雪だけになった。

それをいいことに、雪は携帯を取り出して、プレゼントを探す。

なかなかいいものが見つからなくて思い悩んでいた。

「…雪さん、まだいたんですか?」

別件で仕事をしていた零士が秘書室に戻ってきた。

「…社長の誕生日なんだけど、何かいいプレゼントないかと思って…お兄さんの好きなものとか知りませんよね」

何て言いながら、また、視線を携帯に落とした雪。

零士は側によると、一緒に雪の携帯を見ていると。

「ぁ、これとか好きだと思いますよ。…これとか?あ、これもいい」

すごく楽しそうな零士を見て、雪は微笑ましく思った。

「社長の事、凄く好きなんですね」

雪の言葉に、零士は目を見開いた。

その反応に、雪は首をかしげる。

「…好きじゃない。…嫌いですよ…兄なんて、認めてない」

でも、さっきは琉偉の好きなものとか凄く知ってて、教えてくれるその様は、お兄ちゃん大好きだと言ってるようだった。