琉偉のモヤモヤは、イライラに変わる。

雪も、零士も、それぞれにバタバタとせわしなく仕事をしているのだが、何かにつけて、零士は雪の世話をやく。

雪は大丈夫だと言ってるようだが、退かない零士に、仕方なく助けてもらってるのだが、端から見れば、仲睦まじい恋人のようだ。

他の秘書達も、二人の仲を気にし出したらしい。

課長ですらも、気にして、ある日の終業後、零士を呼び出した。

「零士君」
「何でしょうか、課長」

「最近、必要以上に白井さんに肩入れしすぎなんじゃないかな?」

その言葉に一瞬驚きつつ、でもその顔は直ぐに笑顔に変わる。

「…そうですか?」
「白井さんの体調も、ほとんど治ったし、そこまでする意味がないと思うけど」

「俺には、充分意味のある行動なんですが」

零士の言葉に、課長は眉を動かす。

「…まさかと思うが、白井さんに好意でも?白井さんには黒澤社長という婚約者がいることはわかってると思うけど?仮にも君は、社長の義弟なんだから」

「婚約者と言うだけで、まだ、結婚はしてない。だから、正式な夫婦ではない。と言うことは、俺が、白井さんに好意を抱いても問題ないのでは?」

「なっ?!零士く!」
「すみません課長。仕事の話ではないのでしたら、失礼します。この後、大事な用事がありますから」

そう言うと、さっさと帰っていってしまった。