…早朝。まだ、やっと夜が明けたばかりの時間。

目を覚ました雪は、いつの間にかベッドの中に居ることに気づき体を起こそうとしたが、しっかりと抱き締められているため、動けない。

「…社長？」

横で眠っているのは、かわいい寝顔の琉偉だ。

『お帰りなさい』

と、出迎える筈だったのに、眠ってしまって出来なかった。

その上、疲れているはずの琉偉に、ここまで運んでもらうなんて、申し訳ない。

そんな事を思いながら、やっと緩んだ腕から抜け出すと、雪は、朝食準備のために、キッチンに向かった。

…。

昨夜のご飯はちゃんと食べてくれたようだ。

嬉しく思ったが、食器を片付けてくれてることに気づき、昨夜寝てしまった事を後悔してしまう。

気を取り直して、雪は朝食の準備を始めた。

…午前６時。

携帯の目覚ましで、琉偉は目を覚ました。

そして、雪が居ないことに気づくと、ガバッと勢い良く起き上がる。

まさか、出ていってしまったのか？

そんな不安が頭をよぎる。

琉偉は、ベッドから抜け出すと、そそくさとリビングに向かった。

…味噌汁の良い匂いがする。