琉偉を家に送り届けた課長も、自宅へと帰る。

課長の車がいなくなるのを見届けた琉偉は、自宅へと静かに入る。

電気は明々と点いていて、雪はまだ、起きているのかと、早足でリビングに向かう。

…が。

雪の姿が見当たらない。

と、思ったら、雪は、ソファーに猫のように丸まって、眠っていた。

その寝姿の可愛さといったら。

琉偉は、クスッと笑うと、眠る雪を抱き抱えて、寝室のベッドに寝かせてみるも、雪は着物だ。

帯をほどき、長襦袢だけにすると、布団をかけた。

ぐっすりと眠っているので、何をされても起きない雪に、琉偉はまた、クスクスと笑った。

ダイニングに向かうと、美味しい料理をつくって待ってますと言った雪の宣言通り、料理が並べられていて、それをありがたく頂いた。

雪は、本当に料理がうまい。

それを堪能した琉偉は、片付けをし、お風呂に入り、早々にベッドに潜り込む。

ベッドの中は、雪の温もりで、温かい。

もっと温もりが欲しい琉偉は、雪をしっかりと抱き締める。

すると、寝苦しくなったのか、雪が身悶えして、琉偉はハッとして、腕を緩めるも、雪がすり寄ってくるので、今度は優しく抱き締めた。

…雪の幸せそうな寝顔に、自然と笑みがこぼれ、その寝顔にキスをすると、琉偉も、目を閉じた。

雪はもう、琉偉の傍を二度と離れることはない。

とはわかっていても、琉偉は、眠っている間ずっと雪を離すことはなかった。