その行動にされるがままの琉偉だが、課長に声をかける。

「おい、マー、突然そんなに慌ててどうしたんだよ?」

「なんで、そんなに落ち着いていられるんですか?家に、白井さんが待ってるんでしょう?早く帰らなきゃ。白井さんが待ってますよ。どうしてそんなに、冷静なんですか?早く会いたくないんですか?」

「会いたいに決まってるだろ?でも、そんなに慌てる必要はもうないんだよ」

「何でですか?白井さんは、また、北海道に帰るんでしょ?こんなに呑気にしていては」

そういいながら、課長は琉偉を車の後部座席に押し込むと、自分は運転席に座ってエンジンをかけて、早々に発車させた。

「マー、話を最後まで聞けよ」
「何?今は、運転に集中「雪は東京に戻ってきたんだよ。もうずっと、ここにいる。俺の傍に居てくれる」」

キキーッ!!!

課長が急ブレーキを踏んだ。

当然、琉偉は驚き、課長に言う。

「あっぶないな!なにしてんだよ?」
「だ、だって。琉偉が、驚かせるから」

その言葉に、琉偉は声をあげて笑った。

「早く、送ってくれるんだろ?」
「当たり前です。」

課長は嬉しそうに顔をほころばせると、前を向き、再び車を発車させた。