…まもなくして、相馬は雪を家まで送り届けた。

「…手荒なマネをして申し訳ありませんでした」
「…いいえ、もう、忘れましょう」

「…この償いは必ず」
「…償いなんて、別に」

車を降りた二人は、互いに会釈した。

その時だった。誰かが二人の前まで走ってきて、いつの間にか雪の前に。

その次の瞬間、相馬はその相手に、殴り飛ばされた。

「…ちょっと、誰…冬馬?!」

怒りに満ちた顔で、冬馬が相馬を殴ったのだ。

「…姉ちゃんに手を出すな!金輪際近づくな!俺が許さない!」

もう一度殴ろうとする冬馬を、雪は必死に止めた。

「…もういいの!冬馬、もういいの…全部終わったから」
「…そんな甘いこと言うから、こんな男に漬け込まれるんだ!姉ちゃんは!」

雪の方に振り返って、冬馬は雪を叱った。

「…うん、私もそう思う。ゴメン、冬馬…でも、本当にもういいの。全部解決したから…すみません、相馬さん。弟がこんなこと」

そう言うと、雪は、相馬を引っ張り立たせた。

相馬は、口を拭い、首をふる。

「…いいえ、全ては私の責任です。まだまだ殴り足りないでしょう」


相馬の言葉に、冬馬はワナワナと震えた。

だがやはり、雪が冬馬を止めた。

そんなところへ、琉偉と、課長がやって来た。

二人もずっと雪を探していたのだ。