その日は、朝から小雨が降っていた。
全校生徒が集まった体育館。
ざわざわとなかなか静まらない生徒たち。
そう、今日は全校集会の日である。
「あいつが蓮斗と付き合ってんの?」
「らしいな」
「不良と、それも蓮斗と付き合うとかどう脅されたんだよ…」
未だ、冷やかしの目が絶えない。
でも、私はどれだけ冷やかされても蓮斗くんのことが好きだから。
「…校長先生のお話をお願いします」
校長先生の話だというのに、ざわつきはおさまらない。
まあ、樫乃宮の校長先生の話は長いから仕方ないっちゃ仕方ないけれど。
更に、校長先生はいつも同じ内容しか話さない。
だから、この話を聞くのはもう3度目である。
「………樫乃宮高校の生徒らしく、考えて生活してください」
いつものセリフで校長は話を締めくくった。
これで帰れる、と生徒たちは伸びをする。
しかし。
「…1年B組、高梨栞奈さん」
