不良と呼ばれた君に、私は恋した




「…すみません、そこの新刊ってもう完売なんですかね?」


そう聞いたのは私ではない。


高校生くらいの男子だ。



顔はよく見るとイケメンなのだが、だからこそなのか、凄く威圧感がある。



「あぁ…。在庫はないこともないんだけど」



「じゃあください」


即答。



彼は手早く支払いを済ませ、去っていく。



というか、彼の手にあるのは、例の漫画ぁ!?



「…え、ぇ、それ、在庫まだありますか?!」



「ぁ、いつも来てもらってる子だよね…?あの、君が買うかなって思ってとっておいたんだけど…」



最後のひとつを少年が買ってしまったらしい。



がっくりと肩を落としたが、ここまできて何も買わずに帰るのももったいない。



私は少女漫画コーナーに並ぶ本を見て回った。