「…ん。食べた後、言いたいことがあるんだけど」
蓮斗くんがチョコ棒を口にくわえてそう言った。
「何?」
私はお弁当を片しながら尋ねるが、それ以上は蓮斗くんは何も言わなかった。
蓮斗くんが食べ終わるまで、いつも通り漫画を物色する。
上の段って何があるんだろ…。
私には身長が足りず、上の方にある本は取れないのだ。
隅に寄せてある椅子を持ってきて、本棚の前に置く。
それを足場にして見てみようというアイデアだ。
「……何してんだよ」
椅子に乗ろうとしたところで後ろから蓮斗くんが声をかけた。
「…上の方って何があるのかなーって思って」
「上の段は参考書とかだよ。
それと、高いとこに乗ったりしないでくんない?栞奈さんスカート短いんだから」
瞬間、私はスカートを押さえた。
「…………………………見た?」
動揺を隠せない私に対し、蓮斗くんはいつも通りの涼しい顔をする。
「……何を?」
わかってるクセに、君は意地悪だ。
