「試合?栞奈さん何か部活入ってんの?」
「今は入ってないよ」
中学で、私はバスケ部だった。
しかし、試合の日は集合時間が早く、私は自分でお弁当を作らなくてはならなかったのだ。
「…へぇ。栞奈さんの弁当、楽しみかも」
……?!
いま、楽しみって聞こえたような気がする…。
蓮斗くんの顔を覗くと、心なしか顔がほんのりと赤に染まっていた。
…照れてるのか。
可愛いなぁ…。
「…じゃあそのチョコ棒ちょーだい?」
「…あん?やだし。俺のだし」
「そんなにあるならひとつくらいいいじゃん〜」
「ダメ」
「………ケチ」
ぷいっとそっぽを向く。
「…めんどくせーやつ。チョコ菓子はダメ。…おにぎりなら、やる」
うわ…。
この人極度のお菓子狂だ。
でも、蓮斗くんがくれるって言ってるならおにぎり、もらっちゃおっかな。
「…ただし、一口だけな」
