その日の放課後。
私は迷いながらも、学習室へ向かっていた。
一応、漫画を借りているわけだし、返さなきゃ。
教室に入ると、蓮斗くんの寝息が聞こえてきた。
またソファーの裏で寝ている。
寝顔を見ても、こんなに可愛いのに…。
「…どうして………」
無意識の内に声に出てしまい、慌てて口をふさぐ。
しかし、蓮斗くんは身動きひとつしない。
よかった、起こさなかったようだ。
せっかく気持ちよく寝ているなら寝かせておきたいもんね。
私は蓮斗くんの布団をかけ直した。
その時、蓮斗くんの手が、私の手首を掴んだ。
びっくりして、思わず後ずさる。
しかし、手首をしっかりと握られているために動ける範囲は限られていた。
「な、…びっくりした。蓮斗くん起きてたの?変ないたずらしないでよ…」
