入学式の後のホームが終わり、私は一目散に教室を飛び出した。
もちろん、蓮斗くんに漫画を返すためだ。
ちなみに、いつ蓮斗くんと会うか分からないので、その漫画は常備していると言っていいくらい常に持っていた。
この高校はケータイも漫画も持ち込みは禁止されているのだが。
しかし、2階にある2年生の教室はまだHRが終わっていないらしく、全てドアが閉じられていた。
がっくりとうなだれて生徒玄関に向かっていると、後ろから声をかけられた。
「高梨か?まだいたのか」
担任だ。
確か名前は、…市松。
いかつい顔なので、いきなり話しかけられて内心びくびくしている。
そのグラサンとか正にヤンキーだろ。
「…はい、すみません」
「何か用事か?」
「…あの、2年生の蓮斗くんって知ってますか?」
