「……………」


「……………」




男は何も話そうとせず、ただ黙って私の顔を見つめていた




ホント、な、なんだよ…

なんで私の顔を見るんだよ…!


そんなに醜い顔が珍しいか!?

そりぁ、あんたみたいな綺麗な顔とは月とすっぽん以上に違うけど…さ…


そんな見なくてよくない!?




「……………」


「……………」




もう勘弁してください!

もう参りましたから!


どうぞ、罵倒でも何でもしてください!

あなたに、じー…と見られるよりはマシです!




「あはっ。」




男は、やっと私の顔を見て笑った

これから、罵倒を浴びせられるのかと思っていたが…


男の笑いは他の奴等より、もっと…

なんだろ……オモチャをもらった子どもみたいな笑顔で私を見ている




ホント、なんだよ!

怖い怖い!怖すぎる!


コイツ、何考えてんだよ!




「可愛いーなっ!」


「……はあ!?」




男はいきなり私に向かって可愛いと言ってニコニコ笑い出した




「可愛い…っ!

お前、可愛いな〜


どっから来たんだ〜?」



「はあ…っ!?」




男は、私の頭を優しく撫でると
まるで迷子の子犬を見つけた男みたいな言葉を私に向かって言った




こ、コイツ…

な、何言ってんだ…!?



どっから来たって…

私の家からだけど…!



コイツの言っている意味が分からん!




「なあなあ!

名前、何がいいかな?!」



「な、なんの…?」




私は、思わず声に出してしまった

あまりにもコイツの言っている意味が分からないので、つい声を出してしまった




「あっ、話せるんだ!?」


「馬鹿にしてんの?」




人間なんだから話せるに決まってんだろ!
私をなんだと思ってんだよ!




「可愛ーいな〜」


「はあ…っ!?」




だ、ダメだ…

コイツとは、言葉が通じない…




私は諦めて、男の胸を押して離れようとしたら……




「なんだよ〜

どっか行こうとすんなよ〜」



「……っ……!?」




男は、私の行動に気づいたのか
離れようとはせず、逆に私を抱きしめてきた

男は少し甘い匂いがして、香水をつけてるのだと分かった




「うわぁ…なんか、安心する…

お前、抱きしめ心地……最高!」




そりぁ、どうも………って違う!

なんだよ、離れろよ!!




私は何度も男の腕の中から離れようとしたが…

男は、そのたび私を強く抱きしめてきた