不良王子と 普通女子。

「あのさ……」


耳元で、さっきよりも低い声で。



「その格好、超そそられる……

おい、助けた礼に なんか言うこと一個聞けよ。」


間近に整った顔がある。

しかもなんか、声も顔も色っぽくて…


自分の顔に、熱が集中していくのが分かる。


「え、そ、それって……」


蚊の鳴くような声で聞いてみる。


鼻で笑われた。


「決まってんじゃん、“身体で”、だよ。」


不敵に微笑む。


「お前、けっこう可愛いしな…」


え、か、可愛い…!?!?


今まで男子から言われたことのないセリフに、体温が一気に急上昇する。


すると、男の子の顔がどんどん近付いてくる。


え、どうしよう…これって…


でも、逃げ場がなく、どうにもできなくて…


覚悟を決めて、ギュッと目を瞑った。







………。





「ふっ……はははっ!!」


予想していたものの代わりに降ってきたのは、笑い声。


「え……?」


ゆっくりと目を開けると、そこにはお腹を抱えて笑っている男の子の姿。