「今日は綾部と那智は?」
「部活なの」
「そーなんだ、せっかくうまい切り返し、考えて来たのになぁ~」
「あ……あやちゃんもなっちゃんも帆風くんに会ったら謝っといてって言ってた」

そう、私はふたりから言伝を頼まれてたんだ。

「確かにあの時は参ったけど、オレもなんか情けないことしちゃったしな……」
帆風くんが伏し目がちに言う。

「そんなことないよ!誰にだって触れられたくないことあるもん。ごめんね……私、ふたりのこと止められなくて……」
私がそう言うと……

「畑野は……気になんない?」

帆風くんが私の目をまっすぐに見て言った。

「えっ?」

私が帆風くんの好きな子、気にならないかってこと?
そんなの、気にならないわけない!

「ま、いいや……」
帆風くんは目をそらして、そのまま黙ってしまった。

どういうことなんだろう?
私に気にしてほしいってこと?
そ、そんなわけないよねっ!