翌朝、下足室のところでさっそくあやちゃんと遭遇した。


きのうの夜、ベッドに入ると電車でのことがまざまざと思い出されてなかなか寝付けなかった。
私、あやちゃんにもなっちゃんにも悪いことしちゃった……。
明日、ちゃんと謝ろう!

今日はそう決めて来た。


「あ、あやちゃん!」

私の声に振り返ったあやちゃんは寝不足なのか、疲れ切ったような顔をしていた。

「まどか!きのうはごめんね!!」

へ?
それ、私のセリフ……。

「まどかの言う通りだよ!人に触れられたくないこと、誰にだってあるよね!私、なにも考えないで……まどかにも不快な思いさせちゃってごめん……」

あやちゃん……。

「ち、違うよ!悪いのは私なの!私、あやちゃんに八つ当たりしちゃった……」
「八つ当たり?」
「うん、知りたくなかった事実を突き付けられた気がして……あやちゃんがあんなことを言わなければ、知らずに済んだのにって」
「知りたくなかった事実って……なに?」
「……帆風くんに……好きな子がいるってこと……。でも、遅かれ早かれ知ることだよね……」
「まどか……」

「私、中学の時から帆風くんが好きなの……ごめんね……ずっと言い出せなくて……」

あやちゃんに対して申し訳なく思う気持ちとずっと秘めていた想いをやっと言葉にできたというホッとした気持ちとで涙が出てきてしまった。

「泣かないでよ、まどかぁ~……まどかは悪くないのに……私まで泣けちゃうじゃん~」

あやちゃんはぎゅっと私を抱きしめて一緒に泣いた。