「なに?あいつ、超へタレじゃん!」

あやちゃんがつまんなさそうに言う。

「でも、確かに雰囲気違ってたね。モテオーラ出てた!」

なっちゃんスコープはしっかりチェックしていた。

私は帆風くんに『好きな子』がいることがショックで……なんだか、泣きそうになって来た……。

「まどか?どうかした?」
それに気付いたなっちゃんが気遣ってくれる。
「なに泣きそうな顔してんのよ?」
あやちゃんのそのひとことにムッとしてしまった。

「帆風くん、言うなって言ったのに……なんで言ったの?」
「おもしろいから」
あやちゃんがあっけらかんと答える。
「おもしろかったら人の嫌がること、やっていいの?」
「なに帆風の肩持ってんの?アンタ、もしかして帆風のこと好きなの~!?」
あやちゃんは冷やかし気味に言う。

「……あやちゃんのああいうとこ、よくないと思う」
「えっ……?」

普段、ほとんど自分の意見を言わない私が突然こんなことを言い出したせいであやちゃんとなっちゃんはビックリしている。

「噂好きなのは悪くないけど、限度があるよ!誰だって人に触れられたくないこと、あると思う……!!」

あやちゃんは黙ってしまった……。
これって、八つ当たりって言うのかな?
帆風くんに好きな子がいるってショックが知りたくなかった事実を私に当て付けたあやちゃんへの怒りに摩り替わってる。

私、最低だ。
大好きな友だちに対してこんな感情抱くなんて……。
ついに涙が出て来てしまった。

「なんでまどかが泣くの!?」

なっちゃんが驚く。
私はもうなにも言えなくて、ただ泣いていた。
あやちゃんもなにも言わずに黙っていた。