息遣いのわかる距離に、身体がビクリと反応する。まるで先生を男の人だと認識してるみたいだ。

少し恐いのに、胸の奥が何かを期待してるみたいに疼くから、拒めない。

「なつめは、食べさせてくれないの?」

急に呼ばれた名前に、またドキリとした。

「えっ?」

「チョコ」

「だって、先生、食べれないって」

「なつめがくれるチョコなら、食べれるよ」

「じゃあ、ようじか何か」

そのままでは抵抗があるから、そういうと、先生は「いいよ。そのままで」と、私の腕をとり、チョコに誘導するから、そっと摘まんだ。

先生に食べさせるんだ。

そう思っていたのに、先生は私の口元に誘導する。

「先生?」

「キスして、食べさせて?」

「……」

「そしたら、食べれるから」

先生のそんな顔、見たことがない。溜め息を吐きたくなるくらい、色っぽい。それなのに、遅れて涙腺が緩みそうになった。