「そうかもしれないです。結局、着心地いいものとか、着まわしがききそうなのとかばっかり買っちゃいます」

本来の私はカジュアルでシンプルなものが好きだ。

だから、フェミニンとかガーリーとかはちょっと苦手。そんな中でも着れそうな色の配色やデザインも無難なものばかりを選んで買ってみたりはする。

着ないとわからないものだと思うし。

「まあね。自分が着てて気分がいいっていうのは大事でしょ。
洋服ってさ自分の気持ちをあげてくれる武器だと思うしね。
でもこうやって、相手を不快にさせないとかそういうことも考える必要性があるのもわかったでしょ?
たぶん、箱崎さんに足したらいいなって思うのって、少しの冒険心と、そういうところじゃないかな」

ブランドの企画担当の方がフロアの中央に置いてあるマネキンが着ているチェックのロングワンピの裾を広げながら、

「今年、ミモレ丈が流行ったと思うんですけど、この春もロング人気は不動なんですよ。ロングのカーディガンを羽織って、ダブルロングのコーディネートも可愛いですよ」

と、春の流行を教えてくれる。

花柄だけど落ち着いてみえるワンピース、ピンクとレースのコンビネーションのアコーディオンプリーツスカートは色味に少し青みのかかったピンクを選んだから甘すぎない。

こうやって見ると服の素材やデザイン、ひとつひとつにいろんなこだわりがあって、私達の気分を高めてくれる魔法がかけられているもののような気がした。

だけど、フェミニンで女性らしいデザインは、うちの雑誌にぴったりだけど、やっぱり自分が着るとなると別だな。