「じゃあ、ゲラチェックお願いします」

「ん」と短く返事をした。

この前、私を無理矢理な食事に誘ったというのに、今日は随分そっけない。

オフも見たいというから、もしかしたら今日も……なんて、考えすぎてたみたいだ。肩透かしをくらった気分になった。

「あっ、箱崎さん」

立ち上がろうとした私を止めた。

「休みの日って何してる? いつも忙しい?」

「えっと買い物に行ったり、遠出するときもありますけど……いつも忙しいわけじゃなくのんびり過ごすときもありますよ」

「じゃあさ、今度デートしよ?」

その一言に固まってしまうと、先生は満足そうに笑った。

「唐突にデートに誘うとそんな反応になるのか」

そこで我に返った。

「……か、観察ですか?びっくりしたじゃないですか」

「こうして話してるときも、すごい見てるから、気を抜かないほうが良いよ」

「……わかってます」

「でさ、話は変わるけど」

「はい?」

「お願いがあるんだ」

「はい」

「来週の日曜日、家に来てくれない?」