「ごめんね」と顔を見合わす。恥ずかしかった。
彼は携帯を差し出した。そこには、レースのついた襟をつけているミケランジェロがお腹を見せて寝転んでいる姿が写っていた。
「可愛い。癒されるね」
「でしょ?もう口の中に入れても困らない位可愛いよ」
「それは目の中に入れてもって言いたいの?」
「目の中にはって、ちょっと非現実的じゃない?口の中だったら、実際入るから、リアルでしょ?」
「口の中に入れたら可哀そうだよ」
「えー。でも実際猫を口に入れて写真インスタ載せちゃう芸能人とかいるしね。あの気持ち分かるけどさ」
猫好きの芸能人の名前を言って笑った。
「あーあ。俺も誰かの口の中に入れてもらいたいな。可愛がってもらいたいよ」
「あはは」
遥汰くんは足の間でくつろいでいるミケランジェロを撫でながら言った。
「なつめちゃんは、彼氏いないの?」
「え、あ、うん」
「そっか。仲間だね。ほら、俺は振られたばかりだからさ、幸せな恋愛してる人がいたら心がこうなごむかなと思って聞いたんだけど。そうでもないのか。がっかり」
「なごむって」
「今ね、心は鳥取砂丘だからね」
「え」
「砂漠と砂丘の違いってわかる?」
「え?なんだろ。雨量とか?」



