だから、「免疫なくて……」と、素直に言った。

「免疫?」

「男の人の裸というか――その……って、何を言わせるんですか」と、口に出すと余計に墓穴を掘った気持ちになる。先生の肩をとんっと押した。

一瞬、驚いたような顔をするけど、「もしかして?」と訊かれ、こくりと頷いた。

「まいったな」とつぶやくものだから、先生の気持ちがサーッと津波のように引いてしまったのかと思い、絶望の淵に立たされた気分になる。

言わなければ良かったかもしれない。だけどそんな後悔も一瞬で吹き飛ばしてくれた。

「大事にする」と変わりにギュっと抱きしめてくれたから。

心地よいぬくもりだなと思っていると、足元に何か触れる。ふわりとした毛のような何かが私の足をさする。

「先生?」と、足元を見ると、赤い首輪をした白猫が私の足に体をこすりつけていた。

「え?」と驚いていると、「ミケランジェロ」と、声がしてドアが開いた。入ってきたのはTシャツを羽織った遥汰くん。

「お前、これなんだ?」

「どう見ても猫でしょ?」と、抱き上げてミケランジェロと呼んだ猫に頬ずりをする。

「それは分かるけど」

「同棲してた時、彼女と一緒に飼ってたんだけど、別れたらいらないって一緒に追い出されたんだよ」

まるで自分も猫のペットみたいな言い分だ。