「え?なんか家族に見せてる顔ってこんな風になるんだと思って。なんか可愛いですね」
と言ってしまったのが、祟ったのか先生はにじり寄るように私に近づく。思わず後ずさりすると、壁に背中をぶつけてしまった。そのまま両腕で閉じ込められ身動きが出来なくなる。
「さっきから顔、赤いけど?」
と、言うものだから、さっきの光景を思い出して耳が熱くなった。
男性の裸という見慣れないものを見てしまったせいだと思う。目のやり場に困って、動揺している自分を隠そうと思うと余計に恥ずしくなってしまったんだ。気づかれていたなんて。
「違います」
「何が?」
何がって、男性の肉体に興味があって、じろじろ見ていたわけではないってことだけど、言い訳がましくて逆効果だと思って言えなかった。
「いや。何がっていうのは……その」
変わりの言葉を探していると、先生の唇が重なった。深いキスに驚きながらも必死にこたえる。
唇が離れると、目が合った。
怒ってるのかな?
そうも思えた。



