仕事の話があるのかと理解した。だけど、やっぱりこの場面で彼女として紹介しないって、不自然すぎる。先生について、書斎に向かうけど不安が消えない。
「見てもらいたいものってなんですか?というか、弟さんが来てるんだったら教えてくれたらよかったのに。また日を選んで来ることもできましたし」
「いや、俺もさっき気づいたんだよ。俺がちょっと外に出ている間に勝手に家に上がり込んで、シャワー浴びててさ。前、家に来たときに鍵を持たせたことあるんだけど、そのときに勝手に合鍵を作っていたらしくて」
困ったというように溜め息を吐いた。
「けっこう破天荒な弟さんなんですね」
「ああ。自由にやってるよ。一浪して入った大学だってそのせいで留年したらしいし。最近じゃ、実家にも帰ってないとは聞いてたけど。まさか、俺の家に急に転がり込んでくるとは」
「はあ」
「同棲してた彼女と別れたから、行くとこなくてどうたらって言ってたけど。もしかしたらこのまま居座る気かもな」
「でも、弟さんだし。そのくらい、いいんじゃないですか?むしろ楽しそう。兄弟で二人暮らしって」
「楽しいわけないだろ」
困り果ててる先生の顔がなんだか可愛らしくて笑っていると、「なに?」とますます面白くなさそうにする。



