不機嫌な恋なら、先生と


「あの後、急になつめと連絡取れなくなって、どうしていいか分からなかった。
だけど、やっぱりスッキリしないから、一度だけなつめの家に行ったんだ。
まあ、会えなかったけど……見たんだ。
その帰りに、なつめが男と手を繋いで歩いているところ。……そういうことかと思ったよ。
何があったか知らないけど、彼氏ができてたんだもんな。
だから、俺と連絡を絶ったんだってすぐに理解したよ」

「違います。連絡を絶ったのは、そういう理由じゃなくて……さっきも言ったけど、先生にからかわれたと、失恋したと思ったから、踏ん切りをつけたかっただけで。
先生が見たその人と付き合ったのは、高校生になってからの話です。それとこれとは関係ないです」と強い口調で言い切った。

「でも、どっちにしろ、すぐに付き合ったくらいだから、そんな気持ちだったんでしょ?」

「え? それは……なんか流されてしまって。何も言い訳はできないです……でもすぐに、終わりました。
ちゃんと好きじゃなかったんですよね、私。
手を繋ぐのも無理で……すごい失礼な態度をとってしまったから。
でも、先生のことを好きだったのは本当です。軽い気持ちじゃなかった」

あの彼からの告白をうまく断れなくて、失礼なことをしたと今となっては、反省してる。けど、先生のことが好きだった気持ちだけは否定したくなかった