ドキドキしてるのが自分でもわかる。顔が熱くなっていそうで、視線は合わないようにわずかばかり逸らす。

これも観察なのかな?まじまじと見られると、本当に自分は植物にでもなったみたいだ。

「今の顔もいいけど、個人的には今日の必死な顔も良かったけどね」

「必死な顔って」

「俺に弁解する顔とか、モデルの子に真剣に話をする顔とか。きれいだったよ。想像を掻きたてられた」

「お役に立てたみたいで光栄です」

そういって目を伏せるだけで、いっぱいいっぱいだった。言ったことが本気か嘘かとかそういうのはどうでもいい。意味なんかより、そんな言葉をストレートに言われたことがなくて、恥ずかしかった。

先生は、こういうこと、本当は慣れてるんだな。私より、きっと色んな経験をして生きてるんだろうな。

大人、なんだろうな。

私はやっぱり、子供にしか見えてないんだろう。

こうやって、簡単に触れることもそんな気がしてならない。子供扱いされてるみたいにもとれるから。