「菜緒‼︎」 激しい声の中にひときわ大きな侑斗くんの声が聞こえた気がした。 聞き間違いかもしれない。 空耳かもしれない。 それでも、確かに私には聞こえた。 大好きな人が、私の名前を呼ぶ声が。 ターンの時点で少し遅れをとっていた。 巻き返さないと…! もう、何も耳に届いていなかった。 50メートルのうち、息継ぎを何度しただろうか。 気づけば、壁に手をついていた。